月別アーカイブ: 2015年6月

笹百合

笹百合の花をいただいた。
花瓶に挿すなんて何十年ぶりのことだろう。
昔、小学生だったころ―、もう半世紀以上も前。
通学の道に迫る山肌にも、向かいの山裾へと続く田畑の畔にも、薊や蛍袋や笹百合が咲いていた。
道々、手折っては教室の黒板の前の教卓に挿した。
高校を卒業後、この里を出た。笹百合の咲くころをいつのまにか忘れていた。
長い年月の後でこの里に暮らし始めたとき、家の裏の林に笹百合を1本見つけた。
蕾が開くのを楽しみにしたが、どうしたことか翌日には無くなっていた。
昔は身近な花だった笹百合がすっかり珍しい花となってしまった。
いま、わが家の周りには、ニョキニョキと背が高いユリが咲く。どこから種が飛んで来たのか、タカサゴユリだそうだ。
笹百合の花は清楚な風情なのに、隣の部屋に挿した笹百合の香りは思いの外、強く濃く迫ってくる。

紫陽花

水色、ピンク、紫…。民家の庭で、田んぼの土手に、寺社の参道に、林の中にも。
紫陽花の季節である。
わが家の紫陽花の蕾はまだ小さい。
いくつぐらい咲くだろうか?とのぞきこんでみた。どうやら今年は花の数が少なそうだ。たぶん、また失敗した。
花が咲き終わったあとで、毎年、刈り込んでおくのだけれど、その時期、刈り込む箇所を間違える。
ちょうど良い時期に、良い箇所で刈り込んだ翌年はたくさんの花が咲く
学習して覚えておけば良いのに、思い付いたときに、適当にこざっぱりと刈り込んでしまうものだから、花が多い年、少ない年がある。
わが家の紫陽花を覚えている人から、とてもきれいな、鮮やかな青い大輪の花を思い浮かべます、とお便りをいただいた。
今年も咲きました、と返事が書けるかなあ?

小梅

今年はわが家の梅が豊作。
チーちゃん、タクミくん、コトちゃん、タカアキくんが、おとうさん、おかあさんとやって来た。
3本の木に小さな梅がたくさんなっている。黄色く熟しているのもあって、枝が揺れるとパラパラと落ちる。
5年生のタカアキくんは幼いチーちゃんに採った実を手渡してやっている。
幼稚園児のタクミくんは自分で採りたい。
3年生のコトちゃんはサッサと脚立に上がって、採った実をザルに入れる。
チーちゃんの小さな袋はたちまちいっぱいになった。
おかあさんが高い枝の実を採ろうと爪先立ちをし、ピョンと跳び上がった。
「おかあさん、ピョンピョンしちゃダメ。お腹にあかちゃんがいるんだから」。タクミくんが忠告する。
タクミくんはチーちゃんのお兄ちゃんで、もうすぐ、弟か妹が生まれる。
通りがかった自転車が止まり、車がゆっくり、ゆっくり。
「いいね~」、「たくさん採ってね~」。
梅を採るこどもたちに掛けられる声、顔が優しい。