月別アーカイブ: 2015年4月

成長

声も出さずにうずくまった小さな背中がもっと小さくなってる。
周りの大人は誰も急かさず、じっと待っていた。わずかな時間だったかもしれない。
とてもいい時間だった。

青い空に一片の雲も無く、白や黄色や緑の若葉が柔らかに萌える4月最後の日曜日。
山の上のお宮の前で祭り恒例のこども相撲が始まった。
かわいいともだち、タクミくん。昨年も一昨年も出場した。お相撲が何だかわからなかったあかちゃんの頃から出ている。
この春から幼稚園児である。ガンバルゾ―、って思っていただろうな、きっと。
でも、あれれ?ぼく、負けたのかな?転んだわけではないけれど…。
なんだか立てなくなっちゃった。
顔うつむけてしゃがみこんだ小さな体が、悔しそうで、残念そうで。
無念の思いをかみしめている姿、とても頼もしかったよ!

すみれ、たんぽぽ

真っ白な髪の老女が2人、大きな屋根の軒下の石段に座って握り飯を食べている。土の庭には小さなすみれやたんぽぽがびっしりと広がって、薄紫と黄色の花を咲かせている。
老女たちは、六十数年も前にこの家に生まれ、この庭で遊び、庭につながるれんげ田んぼで花を摘んでままごと遊びをし、れんげの中に寝っ転がって青い空を見上げた。
小さな小さな飛行機がキラッと輝き、一筋の白い線がやがてモクモクと雲になって薄れていくのを見ているのが好きだった。

年に2、3度、遠方から妹が泊まりがけでやって来ると生家に足が向く。
無人となっている家には立ち入れず、ただ軒下の石段に尻を下ろして握り飯をほおばる。
迫る山々は、淡い緑の若葉や赤っぽい山桜の葉がこんもりこんもりと膨らんでいる。
村の中を飛び回っているのだろうか?遠くから聞こえていた鶯の声が、すぐ近くに聞こえてはまた遠ざかる。
平日のことでもあり、道を行く人も田畑に働く人もいない。
かつて、この里の戸数が30だった頃、小学生は男女ともに1年生から6年生までそろっていた。
毎朝、公民館の前に集まって、およそ1時間歩いて登校していた。
下校時は学年ごとに連れだって、道草をしながら帰った。
学校から帰れば、庭でゴム跳び、缶けり、釘さし…。砂ぼこりを巻き上げて走り回っていた。
すみれやたんぽぽは、踏み荒らされることのない庭の片隅に咲いていた。
いま、集落の戸数は23、小学生は2人の姉妹のみ。スクールバスでの通学となっている。

ゆでたまご

うれしかったこと。ゆでたまごの殻がきれいにはずれたこと。
刻んで使う分には不都合は無いが、たとえばおでんの具材にするときは、ツルンときれいなたまごを使いたい。デコボコたまごは、見た目も味もよろしくない。
5個ゆでて、さて1個、きれいなたまごになればよいけれど、全滅のときがある。
あまりにみっともないのは、殻をはずしたら口の中へ。
ゆでたまごの殻を上手にはずすには、ゆであげたら冷水にさらしておくとよい。
ゆでたまごの頭と尻の部分に先ず穴を開けてから、じょじょに殻をはずしていくのがよい。
などのヒントを得るたびに試してみたけれど、成功率は低かった。
たまにきれいにはずれたときは、何かいいことありそうな、そんな気さえした。
またまたテレビで、ゆでたまごの殻が数秒できれいにむけます、と言うので、おでんの予定はなかったけれど5個ゆでた。
なんと、5個ともツルリンと殻がはずれた。それもたちまちのうちに。
あ~、すっきりした。
これからはゆでたまごで運試しができないな~。

花咲けば…

陽気に誘われてほころび、
二分咲き、五分咲きとなった頃、花冷え。少し足踏み。
やがて、花曇りの空に花満開。
月もおぼろの風に花揺れ、
明ければ、冷たい花散らしの雨。
舞い散る花びらは筏となって
ゆらゆらゆらりと川を下って行く。
花咲き、花散る。
今年の春も、はや若葉の頃…。