日の出

dav

廊下の行き止まりに椅子が2つ。
毎朝晩、そこに座って話していた人たちが退院していかれた。
空いた椅子に座れば、向かいの山から太陽が昇ってくる。
まだ太陽が見えない頃は、山々の尾根の上あたりの雲は、柿色や橙色に染まっていた。
しばらく柿色の空を眺めているうちに太陽がのぞき始めた。
目をつむりたくなる眩しさがはじけ、光が広がって行く。一帯の柿色がだんだんとくすんできた。
太陽がスルリと山の端から抜け出たのは、10月29日6時37分であった。
日の出の瞬間を見守るなんてことはめったにない。
母は毎朝、自分流の体操をしながら日の出を迎えると、パンパンと手を打って、
ああ、お日さんはありがたい、と呟いていた。
あの頃の母親の年齢になっている。
体操もしなければなア。

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