大家族

夏休み―、隣家のことちゃんのおかあさん、大家族の食事作りに追われています、と大忙しそうだった。
賑やかさの中でのおじいちゃん、おばあちゃんの笑顔が思い浮かぶ。
昔、父母と暮らした家でも、夏休みには人の出入りが絶えず、お盆の頃ともなれば20人ぐらいの大家族になった。
こども連れが2家族、3家族、ときにはもっと増えた。
こどもたちは水遊びをしたり、蝉やクワガタを採りに行ったり、山里の夏を遊び暮らした。
おとなたちは忙しかった。
そうめんなんて、いったいどれぐらいの量を茹でていたのだろう。
炊事場は土間の隅にあった。
食事をするのは広い板敷きの間。炊事場と食事の場所は離れていたから、下駄やサンダルをつっかけて、何度も何度も行ったり来たりしなければならない。
風呂は、ごえもん風呂。薪を燃やしつける。こどもたちが面白がって風呂たきをしてみるが、下手に薪を詰め込むと、煙るばかりで炎が上がらない。
夜は、3つ続いた部屋の障子も襖も開け放して、一面に布団を敷き詰めた。
日頃点けない部屋の明かりに誘われて、蛾やクワガタや蝉が飛び込んで来て、神棚や電灯の傘のホコリをバラバラと撒き散らし、ミイミイジージーと鳴いた。
大きな茅葺き屋根の下、腹の上に布団を掛けて寝る涼しさだった。
明ければまた、賑やかな一日が続いた。

大家族」への1件のフィードバック

  1. ぷぷ

    懐かしい景色が、浮かんできますね。
    小さい頃の我が家のようです。
    今思えば生活や自然が学びの場であったような。
    孫にも色んな体験をさせてやりたいです。

    返信

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