「ついでに……」

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お盆。
お寺から棚経に来てくださる。
お盆のお供えはこのように、と丁寧に図解されたものが届いている。
参考にしながら、ふだん使っている器の中から小さなものを選んで、汁物、酢の物、あえ物も……。
チマチマとままごとのようなお供え物である。
毎年、そんな膳を見てもお寺さんは何もおっしゃらない。
お示ししたようにしてください、とも、こんな器では良くない、ともおっしゃらない。
小さな祠に窮屈に閉じ込めたような感もある父と母の位牌を前に、朗々と読経。
その後でいつも、ひとことふたことお話をしてくださる。
今回は、「ついでに……」。というお話。
わたしが脚の手術を受けて3カ月入院していたことをご存知で、
「回復の具合はいかがですか」とのお尋ねに「順調です」とお答えする。
「順調なのを良いことに、ついでに、はいけません。これをして、ついでにあれもと欲張ると、転んだり、つまずいたりします。ついでに、は要注意です」と。
10分間ほどの滞在の後、暑い中を隣家へと向かわれた。
隣も隣も、さらに隣も檀家である。

炎天、酷暑。

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朝4時半からヒグラシ蝉。
合唱はおよそ30分間。
カナカナ、カナカナがだんだん弱まって来る頃、
後は引き受けた、とニーニー、チーチー、ミンミンミーンも加わって、
午後ともなれば、暑さをさらにさらに引っ掻き回す。
蝉の抜けた穴も日毎に増えている。
紫陽花にアシビにマンリョウに、桧の幹の高いところにも。
葉っぱの裏に、茎に、いたるところに抜け殻がくっついている。
ただ、あちらこちらに、アブラゼミが仰向けにひっくり返っている。
連日の炎天、酷暑のせいだろうか?
7日とも言われる寿命は全うしたのだろうか?
ミミズも干からびている。
転がった蝉、ミミズに蟻が群がっている。

夏野菜

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ゴーヤ、きゅうり、なす、ピーマン、かぼちゃ、トマト……。
いろいろな夏野菜をいただく。同じ日に、あちらからこちらからいただく。
ときには、玄関先にドンと置いてある。
「助けてください。一度にたくさん実るのです」とことばを添えながら。
「ありがたい、うれしいです。助けてもらうのはこちらです」。
いただいた野菜をどんなふうに食べようか?
まずは生のままで。シャキシャキ、さっぱり、瑞々しさを味わう。
次いで、焼いたり、煮たり、炒めたり……。いただいた野菜は余さずに使いきりたい。
あれこれの調理を考えるのも面白い。
友人が、束にした青紫蘇を抱えて来てくれた。
さて、どうする?
ジュースを作った。味噌を加えて練ってみた。つくだ煮ふうに煮詰めてみた。
緑の葉が繁る紫蘇はまだまだある。
大きな花瓶にギュッと挿しこんだ。

ぐんぐん、すくすく。

dav

3兄妹弟が来てくれた。
おとうさんと一緒に。回覧板を届けに来てくれた。
たくみくん、ちいちゃん、かんたくん。3年生と1年生と幼稚園児。
あかちゃんのときから見ている。
あかちゃんのときは末っ子のかんたくんが大きかった。
お座りができるようになると、ちょっと貫禄さえあったなア。
今はすっきり、スマート。
おにいちゃんとおねえちゃんはサッカーを始めた。
朝、1列になって登校のとき、ときどき道の反対側から見送っている。
視線を合わせてはくれない。
上級生と登校中は緊張ぎみ。声をかけないでネ、と身体中で言っているようだ。
今日はおとうさんと一緒。
おとうさんと親しげにしゃべっているおばあちゃんだからかな?3人ともに盛んに話してくれた。
大きく口を開いて、おとなの歯が生えて来た、と見せてくれた。
3兄妹弟、ぐんぐん、すくすく成長している。

梅雨の中で

dav

4時半。ヒグラシ?
そうだった。毎年、夏の朝、未明、ヒグラシが鳴き始め、次々と誘われるようにカナカナカナと鳴き音が加わり、やがては林から林へ、およそ30分間の輪唱が続くのだった。
今日も太陽キラキラ暑くなるぞ~との前ぶれのようでもあった。
今はまだ梅雨の最中である。昨日など、襟元に薄物を巻き付けた。
過去を調べて最も遅い6月下旬の梅雨入りで、明けるのは7月下旬だろう、との予報である。
昨年、近畿地方の梅雨明けは7月6日だった。
今年も明けたか?と這い出て来たのか。
4時半。鳴いて見たけれど、カナカナカナ……が続かない。。
輪唱とはならなかった。

ヤモリ

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初めて見たヤモリの尾は短かった。
どこかで切れたか?そんな体形か?
尾の短いのが特徴なので、次に来たときに、あのヤモリだとわかった。
以来、初夏になるとやって来ていた。
1匹だったのが2匹になり、そして、昨年は3匹になった。家族ができたのだろうか?
なんだかグロテスク、と思っていたのが、毎年やって来るのを見ているうちに親しみもわき、
ヤモチャン今年も来たか、とうれしくもなっていた。
けれど、今年、あの尾の短いのはまだ現れない。
今年のヤモリは大小の差がない2匹。
昨年小さかったのが成長したのだろうか?新顔か?
ともに尾が長い。
台所の流し台の前の窓ガラスを縦横に這いまわっている。プクンとふくれた腹を見せて。
小さな虫を捕らえる姿はちょっと怖い。

わたしの場合

dav

そのとき、告げる方がいいか?と知人に言われた。
言動があやしくなってきたとき、もの忘れがたびたびになってきたとき、
この頃ヘンだと忠告してほしいか、見守っているのが良いか?と。
どうだろうなぁ……。
「この頃おかしいよ、と教えてもらいたい」と答えた。
もうすでに始まっているのかも知れない。
あれ、それ、あそこ、どこへいった?ここにあったのに……は、しょっちゅうだから。

出てくる。

dav

ごめん、と言いながら木の枝で蜘蛛の巣を払う。タオルが干せない。
そっちはダメ、と蟻の行列に水をかける。家の中に入って行きそうだから。
頼むから退いて、と念じながらポイポイと石ころを投げつける。ぶつけるわけではない。
車1台が通れるだけの道を蛇が長々とふさいでいる。
若葉がきらめき、まぶしい季節。
蟻や蜘蛛や蛇もトカゲも……。出てくる。出てくる。

終わりかた

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椿の花を箒でつつく。
乱暴なことを、と眉をひそめられたが、同様のことをする、と言う人もいる。
椿の花がポトリと落ちる。潔いとも、不吉とも言われる。
色褪せてもなかなか落ちない花がある。
落ちたけれども木の股に挟まったまま茶色くなっている花もある。
艶やかに、絢爛と咲き継いだ花が、ゆっくりと朽ちていくさまは何とも無惨。
だからもう、チョンチョンとつついて落としてやるのですよ、とうなずきあう。

新学期

dav

新学期が始まって2週間。
今年はずいぶん長く咲き続けた桜の下を児童たちが登下校して行った。
わが家の前は四叉路。下の道から、左の道から、集落ごとのグループがやって来る。
横断歩道を渡るときは、駐在所のおまわりさんが安全を確かめて誘導している。
駐在さんも、この春、この町に家族で赴任してきた新人さんである。
下の道からやって来るグループの中に、1年生のちいちゃんが、大きめの黄色い帽子を傾かせて、うつむきかげんに歩いている。
何かと声をかけたがる近所のばあさんが、道端の椿の木の下に立っている。大声で呼び掛けられたらイヤだなぁ、なんて思っているのかなぁ?そっと見ているつもりだけれど。
週末の朝、ちいちゃんの右手が腰のあたりで小さくヒラヒラとしたような……。
「おはよう」の合図だったかな?